かなで 『フロム・ディストピア』の歌詞とMVとカラオケ練習

16回目の誕生日に
期間限定の時間旅行を手に入れた
世界がまだその価値に気づく前、
きみを好きになるのに
お金も権利書も要らなかった

適当な日付を入力して飛ばされたのは
100年前の夏の終わりで
不都合で不快な湿気た空気も不協和音も
何故かひどく懐かしくて心地よかった

非合理的な極彩色
熱いアスファルトとやたら安いアイス
目がまわる表情の海
感情の波に溺れそうなの
誰か、息継ぎを教えて

きみの笑顔で暴れだす心臓が
この夏を暑くする 苦しいくらいなの
はりつく前髪も 汗をふくオレンジも
ぼくを焦らせて意地悪する【青】さ

100年前のこの世界には
息が詰まるほどの自由が満ちていて
ロゴひとつないこの夜空を逝く流れ星は
まだ星たちの亡骸で
温い夜風に手を伸ばして目を閉じる
その悼みもぼくらは知らずに
ハッピーエンドが喰い尽くされた世界で
欲しいものなどひとつだけだと言えなくって

合理的に設計された
無駄のないぼくの綺麗な設計図は
「嫌い」を排除した世界で
「好き」なものが思い出せないのよ、ぼくら
あの夏を教えて

ぼくの涙も 割れそうな音色も
この夏を鮮やかに染め上げてくのに
息が切れるほどに 眩暈を覚えるほどに
ぼくを急き立てて意地悪する【青く】

二度と戻れないこの夏の日の記憶を
二度と辿れないと知っているから
自分ひとつさえ改変できないぼくに
傷跡でいいから刻み付けてよ
どうか、魔法を教えて

後悔の夜も 胸を裂く追慕も
この夏に鮮明に縫い付けててね
きみを思い出せない明日がくるのが怖いよ
いっそこの夏に堕ちてゆきたいのさ

この夏の色に きみと過ごすこの時に
胸が軋むことは二度とないから
熱く透き通るあの夏に出会いたいの
もう一度 もう一度
あなたのいる【青】に